第2話 護身第2話 護身自衛隊の奮戦の甲斐なく、怪物の侵攻は止まる気配もなかった。 遠くに見える怪物の姿を透かし見た、その瞬間! シンジは、逆に怪物から睨み付けられるような強烈な視線を感じた。 「僕を見ているのか?」 そう呟いたシンジの声が聞こえたのか、それとも何か求める物でもあるのか、怪物はシンジのいる方角に向かって近付いて来る。 いくら羅漢寺で厳しい修行を受けて逞しくなったとは言っても、もちろん、あんな怪物相手には歯が立つわけがない。 敵わない相手に立ち向かう事の無謀を悟り、争いになる前に身を避けるのが、護身術の基本、そう羅漢寺でイヤという程、身体に叩き込まれたシンジの動きに迷いや逡巡は一切無かった。 「稽古ではなく実戦では、どんな事をしてでも、まず生き残れ!」 そう教えてくれた龍和尚の言葉に従いトライチェイサーに飛び乗るシンジ。 ● 新世紀エヴァンゲリオン Neon Genesis Evangelion 01 Test-type DVD(2003/3/26) 街の住民は既に避難したのか、街路には人っ子一人見当たらなかった。 怪物と自衛隊の戦いは激しさを増し、周りをミサイルが飛び交い始めていた。 その時! ふと、なにかシンジの感覚に触れるものが有った。 なにか、微かに聞こえるモノ・・・・。 どこかから、誰かを呼ぶ、か細い声・・。 全身の感覚を集中させ、その場所を探り出すと、シンジはトラチェイサーの向きを180度変え、怪物に向かって一直線に走り出した。 辿り着いた場所にあったのは、倒壊した家の残骸。 「でも、さっきの声は、確かにここから聞こえていた!」 そう確信したシンジが、声のした辺りの瓦礫を取り除き始めると、その下から、まだ小さな子供の手が見えた。 思わず、目を伏せそうになるシンジの目の前で、微かに動く小さな手。 「まだ、生きている!」 そう思い、必死の思いで瓦礫をかき分け掘り進めると、奇跡的に瓦礫の隙間に挟まっている少女の姿が出てきた。 続く |