2010542 ランダム
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第2話 護身

第2話 護身

自衛隊の奮戦の甲斐なく、怪物の侵攻は止まる気配もなかった。
遠くに見える怪物の姿を透かし見た、その瞬間!
シンジは、逆に怪物から睨み付けられるような強烈な視線を感じた。

「僕を見ているのか?」

そう呟いたシンジの声が聞こえたのか、それとも何か求める物でもあるのか、怪物はシンジのいる方角に向かって近付いて来る。
いくら羅漢寺で厳しい修行を受けて逞しくなったとは言っても、もちろん、あんな怪物相手には歯が立つわけがない。
敵わない相手に立ち向かう事の無謀を悟り、争いになる前に身を避けるのが、護身術の基本、そう羅漢寺でイヤという程、身体に叩き込まれたシンジの動きに迷いや逡巡は一切無かった。

「稽古ではなく実戦では、どんな事をしてでも、まず生き残れ!」

そう教えてくれた龍和尚の言葉に従いトライチェイサーに飛び乗るシンジ。

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街の住民は既に避難したのか、街路には人っ子一人見当たらなかった。
怪物と自衛隊の戦いは激しさを増し、周りをミサイルが飛び交い始めていた。

その時!
ふと、なにかシンジの感覚に触れるものが有った。
なにか、微かに聞こえるモノ・・・・。
どこかから、誰かを呼ぶ、か細い声・・。
全身の感覚を集中させ、その場所を探り出すと、シンジはトラチェイサーの向きを180度変え、怪物に向かって一直線に走り出した。
辿り着いた場所にあったのは、倒壊した家の残骸。

「でも、さっきの声は、確かにここから聞こえていた!」

そう確信したシンジが、声のした辺りの瓦礫を取り除き始めると、その下から、まだ小さな子供の手が見えた。
思わず、目を伏せそうになるシンジの目の前で、微かに動く小さな手。

「まだ、生きている!」

そう思い、必死の思いで瓦礫をかき分け掘り進めると、奇跡的に瓦礫の隙間に挟まっている少女の姿が出てきた。

続く


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